「しろいろの街の、その骨の体温の」村田紗耶香著
拡張を続けるニュータウンに住む小学校4年の結佳の学校には転入生が絶えない。仲良しの若葉もその一人だ。もう一人、信子が加わりグループを作る結佳だが、心の中では自分は彼女たちとはちょっと違う女の子だと自負している。そんな結佳から見ると、同じ習字教室に通う伊吹は、年下のように幼く見えてしまう。言葉だけ知っている「初潮」や「精通」が何を意味するかも分からない結佳だが、いつも屈託のない伊吹を「おもちゃ」にしてみたいという気持ちがわき、自分からキスをする。
女の子が少女へと変化していく時間を描いた第26回三島由紀夫賞受賞作。(朝日新聞出版 700円+税)