ドキドキノンフィクション 365日
-
神経経済学の最新成果にドキッ
副題に「ハンムラビ法典から」とあるが、貨幣の始まりを探る旅は、人類以前の生物同士の営みを探るべく、ガラパゴス諸島から出発する。生物同士の交換関係を築くことが、生物の生存上有利であることに着目し、ここ…
-
心の不思議と治癒しようとする体のたくましさ
霊験あらたかな水や、薄めた砂糖水が原料のホメオパシーなど、巷にあふれる民間治療法がなくならないのはなぜだろう。 サイエンスライターの著者は、薬効のないプラセボ(にせ薬)などが、どのように人体…
-
ヒリヒリと感じられるむき出しの「生」
著者は沢ヤである。沢ヤとは、沢登りに異常なこだわりをもった偏屈な社会不適合者とある。この本は日本一の直瀑・那智の滝を登るシーンから始まっている。なぜ御神体であるこの滝に登っているかといえば、「日本一…
-
最先端技術と倫理の問題にスリリングに迫る論考
著者は、エール大学生命倫理学術センターのセンター長であり、本書では最先端テクノロジーが人類に及ぼす社会的な影響について警鐘を鳴らしつつ、それが社会の利益になるように監視するにはどうしたらいいかを探っ…
-
インドへ行ったら一度は「自分」探し?
「英国一家、日本を食べる」で話題になったマイケル・ブースの新刊である。今回は、中年の危機を迎えた著者が、妻と息子たちを連れてインドを旅する。 野心とキャリアで自分の値打ちを測ってきた著者だが、…
-
パリでナチスに抗した無名の人々の記録
第2次世界大戦末期、各地で敗北を重ねていたヒトラーは、パリを占領しているドイツ軍兵士に指令を出す。 「パリを敵の手中に渡してはならぬ。もし、敵の手中に渡すときには、パリは廃虚となっていなければ…
-
「幽霊現象」で考察する「死」と向き合う被災地の今
震災から5年が過ぎた。この春、話題になった本書は、金菱清ゼミナールの指導教官とゼミの学生たちが、綿密なフィールドワークによって、どのように被災地が「死」と向き合ったかをまとめたものであり、肉体の「死…
-
パイロットがつづった 書店で買える空想の空旅エッセー
イギリスの航空会社、ブリティッシュ・エアウェイズのパイロットが空の旅の素晴らしさについて語ったエッセーである。空が彼の文体を作るのか、文体が彼に空を飛ばせたのか、美しい文章は、彼の操縦するボーイング…
-
震災後の日本を旅して“魂の故郷”を探す女性の物語
欧米のホラー映画を見ていると興ざめすることがある。怪奇現象の正体が実は「悪魔」だったりすると、とたんにうそっぽくなって、「なんじゃそりゃ」という気分になるのだ。 では「幽霊」はどうだろう。日…