音楽をめぐる物語
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読後、静かな感動が押し寄せてくる傑作
音楽には不思議な力がある。精神治療において音楽療法が導入されているし、歩行訓練のリハビリなどでも音楽が効果を上げている。本書はそんな音楽がもたらした不思議な出来事を描いている。 【あらすじ】如…
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作者不明のCDが巻き起こす殺人事件
ダミアが歌って世界的にヒットした「暗い日曜日」は、もとはハンガリーで生まれた曲で、その暗い内容により自殺者が相次いだとされ、歌が社会的に大きな影響を与えた例として知られている。本書も、その歌を聴くと…
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神秘的な「録音」の背後にあるおぞましい秘密
音楽をテーマにしたSFというと、オースン・スコット・カードの「ソングマスター」やキム・スタンリー・ロビンスン「永遠なる天空の調」などがあるが、史実を下敷きに歴史改変SFに仕立て上げたのが本書。第6回…
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青春の蹉跌をほろ苦く描いた名作
ヘルマン・ヘッセはその生涯に数多くの詩を残している。そしてその詩に曲がつけられた歌曲も多く、800曲以上の歌詞となっている。ヘッセ自身、そうした歌曲に対しての評価についてはあくまでも中立的な態度を守…
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史実をもとにした傑作長編
イタリアの作曲家ビバルディといえば協奏曲「四季」というほど、その人気は絶大で、イ・ムジチ合奏団による「四季」のレコード売り上げは全世界で950万枚というクラシック音楽では驚異的な数字を記録。これほど…
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シューマンの伝記的事実とシンクロする物語
著者はキーボードやフルートを奏すミュージシャンとして活動を行ってもいる。それだけに音楽をテーマにした作品も多い。本書は、タイトルにあるようにドイツ・ロマン派の作曲家ロベルト・シューマンに傾倒する若き…
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中年女性4人がロックバンド結成
阪神・淡路大震災と地下鉄サリン事件が起きた「1995年」と、イギリスのロックバンド、ディープ・パープルの名曲「スモーク・オン・ザ・ウォーター」。この一見なんの関係もない2つが結びついて生み出された、…
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中年バンドマンに降りかかる不可解な事件
同じ著者の「オケ老人!」は高齢者ばかりのアマチュア・オーケストラが主人公だったが、本書はタイトル通り、中年男たちによるヘビメタ・バンドが主人公。ヘビメタが音楽シーンに登場してからすでに40年以上経っ…
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老人ばかりのオーケストラに間違って入団し…
現在日本には、アマチュアオーケストラがざっと1000団体以上あるといわれている。むろん、その中にはプロに近い実力を持つオーケストラもあれば、部活動の延長のようなものもある。本書に登場するのは、そのピ…
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青春の蹉跌を描く900ページの長編
全3巻それぞれに副題が付いている。1から順に、「合奏と協奏」「独奏」「合奏協奏曲」。語り手の説明によれば、合奏とは、自分が全体の部分であることをわきまえて、ひとりではできない音楽を全員でめざすこと。…
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部員獲得のため、三角関係の幼馴染みが奔走
弱小吹奏楽部が吹奏楽の“甲子園”普門館を目指すというのは、青春音楽小説の定番だ。ところが本書の清水南高校吹奏楽部の部員はわずか9人、まさに廃部寸前。練習も何も、まずは部員集めから始めなければならない…
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カルテットが紡ぐ人間ドラマ
今年の初めに放映されたTVドラマ「カルテット」は、質の高いオリジナルドラマとして高い評価を得た。物語は、偶然出会った、松たか子(第1バイオリン)、満島ひかり(ビオラ)、高橋一生(チェロ)、松田龍平(…
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オーケストラの裏方仕事にスポット
現在、日本オーケストラ連盟には正・準会員合わせて36のプロオーケストラが加盟しているが、そのほとんどが補助金に頼り、財政的には厳しい状況にあるといわれている。多くの楽団員の給料も含め、大所帯の組織を…
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「このミス」大賞受賞の音楽小説
ピアニストのフジコ・ヘミングは、16歳のとき中耳炎で右耳の聴覚を失うが、それでもピアノを続けてバーンスタインに実力を認められリサイタルを行うまでになる。しかし、リサイタル直前に風邪をこじらせ左耳の聴…
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主人公はロックバンドの美人ギタリスト
【話題】ギブソンが選んだ「最高の女性ギタリストTOP10」には、ランナウェイズのジョーン・ジェットとリタ・フォード、オリアンティ、ハートのナンシー・ウィルソンら、ロック畑の女性ギタリストの名前が入って…
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ロックに思いを懸ける男女4人を描く青春小説
【話題】往年のエレキ小僧にとって、ギブソンのフライングVは憧れのギターのひとつだ。「矢印の山の部分をさかさまにしたようなギターで、戦闘機かロケットみたいに見える」その形状はステージ映えし、ジミ・ヘンド…
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傷を持つ男女がお互い、いたわりあううちに…
【話題】チェンバロは不思議な楽器である。見た目はピアノに似ているが、ピアノがハンマーで弦を叩くのに対し、チェンバロは爪で弾き、ピアノより音は小さく、音の強弱をつけられない。要するに大きなホールではピア…
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ピアノ曲を題材にした中学生が主人公の短編集
【話題】うっとうしい梅雨の季節だが、この機会に傘を新調するのも楽しみ。そういえば、エリック・サティが死んだときに、その部屋から100本以上のこうもり傘が出てきたという逸話が残っている。本書のタイトルは…
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美女教師めあてに男子生徒が次々と合唱部へ
【話題】吹奏楽の世界では、「吹奏楽の甲子園」といわれた「普門館」(現在は名古屋国際会議場センチュリーホール)を目指すことが大きな目標となっているが、合唱の世界でかつての普門館に当たるのがNコン(NHK…
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軽快な大阪弁で語られる音楽漬け少女の心情
【話題】電車の中などで、若者の音楽プレーヤーのヘッドホンから音が漏れ出し、顔をしかめている中高年という図をよく見かける。 しかし考えてみれば、自分の身近で常に音楽を聴くことができるようになった…