春風亭一朝 大いに語る
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「しばらく演じてなかった噺を掘り起こしてやりたい」
NHKの時代劇ドラマを見ていると、スタッフの名前の中に、「江戸ことば指導・春風亭一朝」というクレジットが出ることがある。NHKからお墨付きをもらうくらい江戸言葉に精通しているのだ。 「時代劇が…
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自分と同じ寂しさは…最後の弟子が真打ちになるまで元気に
現在、一朝の弟子は10人。真打ちが柳朝、一之輔、三朝、一左の4人。二つ目が一蔵、朝之助、一刀、一花、一猿、朝枝の6人である。 「最初に弟子が入った(前座名・朝吉)のが26年前で、あたしが44歳…
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芸事は積み重ね「やっぱり落語家は歌舞伎見なくちゃダメ」
一朝夫人は、「かたいっつぁん」の呼び名で知られる歌舞伎役者、5世片岡市蔵の長女である。 「あたしが歌舞伎座で笛を吹いていた頃、かみさんは楽屋に出入りしてたので、顔は知ってました。その彼女が湯島…
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笛の腕前を見込んだ家元が「落語家、やめられませんか?」
一朝は落語界で「笛の名手」として知られる。前座時代から習っていたことは前に記したが、その後も稽古を続けたわけだ。 「祭り囃子が好きで始めたのが、二つ目になって本格的に習うようになりました。やっ…
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いま高座にかけてる噺は古今亭志ん朝師匠の持ちネタが多い
1982年12月、一朝の真打ち披露興行に師匠の柳朝は病気療養中で出られなかったが、代わりに、協会幹部の師匠連が口上を述べてくれた。 「口上を聞いてて、『あ、この師匠は俺のことをこう思ってたんだ…
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弟弟子の小朝が36人抜きで真打ち「師匠は伝えにくかった」
一朝に遅れること2年、1970年4月、柳朝に弟子入りしたのが春風亭小朝である。高校に通いながら、夜席だけ寄席で働く小朝(前座名・小あさ)を柳朝は甘やかした。 「小朝が寄席を5日も休んだので、ど…
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「いっちょうけんめいやります」誕生秘話…二つ目昇進時に
二つ目昇進の際、大師匠の林家正蔵(後の彦六)から、一朝という名跡を頂いた。 「一朝というのは、大師匠が稽古をつけてもらった恩人、三遊一朝師匠だと伺いました。三遊亭でなく三遊です。あたしは春風亭…
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立川談志が「柳朝んとこに入った弟子はどいつだ?」と…
一朝が前座になりたての頃(前座名・朝太郎)、末広亭の楽屋で働いていたら、立川談志が出番もないのに入ってきた。 「いきなり、『柳朝んとこに弟子が入ったらしいが、どいつだ?』と聞くので、『あたしで…
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5代目春風亭柳朝に入門 二つ目になるまで70超の噺を覚えた
春風亭一朝は1950年12月10日、足立区千住の大川町で生まれ育った。本名、浮ケ谷克美。高校3年の年に落語家を志し、8代目林家正蔵(後の彦六)の門を叩く。 「当時の師匠んとこには前座が2人いて…
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弟子の一之輔は本当に寄席が好き。寄席を休みたくないと…
年頭の「大いに語る」にご登場いただくのは、春風亭一朝師匠である。耳に心地よい江戸言葉を駆使して、古典落語を本寸法で歯切れ良く演じるベテランだ。昨年この欄で、弟子の一之輔が語る師匠像が魅力的だったので…