「しばらく演じてなかった噺を掘り起こしてやりたい」
NHKの時代劇ドラマを見ていると、スタッフの名前の中に、「江戸ことば指導・春風亭一朝」というクレジットが出ることがある。NHKからお墨付きをもらうくらい江戸言葉に精通しているのだ。
「時代劇が好きで、衛星放送で毎日昔のドラマを見てますが、イントネーションが間違ってることが多いですね」
監修はどのようにしているのか。
「コロナ禍以前は撮影現場で、俳優さんに直接伝えてました。去年のBS時代劇『明治開化・新十郎探偵帖』(現在放送中)は現場に行かず、台本に直しを入れたり、正確なイントネーションをテープに吹き込んで渡してました」
俳優たちを指導するのはどんな苦労があるのか。
「あんまり注意しすぎると、俳優さんがせりふに集中できません。大河ドラマの『龍馬伝』では、武田鉄矢さんが勝海舟役で、江戸っ子なのにどうしても博多弁のなまりが出ちゃう。いちいちアクセントを直してたら大変なので、『こう言うと江戸っ子らしく聞こえますよ』とアドバイスしました。例えば、『そんなことはやめろ』というせりふを、『そんなこたぁ、よしにしねえ』と言うと江戸っ子らしく聞こえるでしょ」