【TDM】薬剤耐性菌MRSAに対する治療では欠かせない有効な手段
前回、「TDM」(Therapeutic Drug Monitoring)に薬剤師が深く関わっている、というお話をしました。今回は、広く知られている薬剤耐性菌「MRSA」の治療について、薬剤師がどのようにTDMを活用しているのかを紹介します。
一口にMRSAといっても、人体のさまざまな場所に感染します。とびひなどの皮膚感染症から、肺炎など命に関わる病気までさまざまです。MRSAに用いる抗菌薬もさまざまあるのですが、抗MRSA薬の「バンコマイシン」や「テイコプラニン」といった薬剤では、TDMが必須になります。
抗菌薬の量が多すぎると腎障害や聴覚障害などの副作用が心配ですし、量が少なすぎるとMRSAに対して十分な効果が得られません。また、投与量が少なく、不十分な治療が行われ続けると、新たにその抗菌薬に対する耐性菌が発生するリスクが高まります。TDMはこれらの問題に対してとても有効な手段なのです。
抗菌薬の投与が決定すると、薬剤師は、患者さんの身長、体重、腎機能などから最適な投与量、投与回数を検討し、医師に提案します。バンコマイシンやテイコプラニンの場合には、速やかに効果を得るために初回の投与量などを多めに(ローディングドーズ)提案しています。