【ワクチン接種】筋肉注射のほうが副反応が少なく効果が高い
新型コロナ感染症の流行により、ワクチンを接種された方は多いでしょう。これまで、ワクチン接種といえば「皮下注射」が多い印象ですが、新型コロナウイルスのワクチンは「筋肉注射」であることを不思議に思った方もたくさんいたのではないでしょうか。
じつは米国をはじめ多くの国々では、インフルエンザワクチンも筋肉注射で投与されています。なぜなら、筋肉注射のほうが接種部位の副反応が少なく、ワクチンの効果が高いからなのです。米国の予防接種の実施に関する諮問委員会(ACIP)においても、筋肉注射が推奨されています。
ところが日本では、インフルエンザワクチンなど多くの不活化ワクチンは、皮下注射で行われています。この大きな理由として、1970年代に解熱薬や抗菌薬の筋肉注射によって起こった大腿四頭筋拘縮症の薬害問題が考えられます。本来、筋肉注射を行うべきではない、pHが低く(酸性)浸透圧の高い解熱剤や抗菌薬の頻回投与(特に両薬剤の混注)により、筋肉組織が壊死し、その後に筋肉が伸長性を失い、関節運動の制限が起こってしまったのです。薬の作用だけでなく、注射薬の不適切使用という医療行為を原因とするものである点において、医療過誤の絡んだ薬害ともいわれています。