著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【ワキガ】粘り気のある汗を常在菌が発酵させて臭いを放つ

公開日: 更新日:

 以前、当連載でニキビについてお話ししたことがあります。ニキビは単純な感染症ではないのですが、アクネ菌の繁殖も要因のひとつとなっています。同様に、「ワキガ」も単純な感染症ではないものの、菌の増殖が原因のひとつとして挙げられます。

 ワキガという呼称は、脇の下から独特な悪臭が放たれることに由来していて、医学的には「腋臭症」や「アポクリン臭汗症」と呼ばれています。汗を出す汗腺には、エクリン腺とアポクリン腺という2種類があって、通常暑いときに全身に汗を出すのはエクリン腺です。ただ、汗の99%は水分でワキガの主な原因とはなりません。

 一方、ワキガの場合は、アポクリン腺から出る皮脂を含む粘り気のある汗を、皮膚に常在しているブドウ球菌やコリネバクテリウム属の菌(特にCorynebacterium xerosisが有名です)が発酵させることによって、強い臭いを放ちます。エクリン腺が体全体の表皮に見られるのに対し、アポクリン腺は、脇、乳首、陰部といった特定の部位にのみ存在します。

 ワキガは、日本人ではおよそ10人に1人の割合で発症するのですが、自身がワキガとはなかなか気づきにくいものです。ワキガの方は、耳あかが湿っているという特徴があります。外耳道にはエクリン腺が存在しないので、耳あかに湿り気があるのは、アポクリン腺から分泌された汗による可能性が高いと考えられます。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  2. 2

    高市政権の物価高対策はもう“手遅れ”…日銀「12月利上げ」でも円安・インフレ抑制は望み薄

  3. 3

    元日本代表主将DF吉田麻也に来季J1復帰の長崎移籍説!出場機会確保で2026年W杯参戦の青写真

  4. 4

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  5. 5

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 7

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 8

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾