著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【動物咬傷】感染予防の抗菌薬が供給不足で処方できないケースも

公開日: 更新日:

 私見ですが、夏休みや冬休みになると、イヌやネコに咬まれた人が多く受診される印象があります。ペットのイヌやネコからしても、年末年始に久しぶりに帰省してきた家族をみると、「誰だこいつっ!! ガブっ!」と、いきたくなる気持ちもわからなくもありません。

 イヌやネコの口腔内に常在するPasteurella属菌は、咬傷から感染し、膿瘍、蜂巣炎、骨髄炎を発症することがあります。これらの細菌にはペニシリン系の抗菌薬が効果を示す場合が多いとされていて、感染予防としてアモキシシリン/クラブラン酸の内服薬が処方されるケースが多くあります。しかし、こうした抗菌薬は夏場くらいから供給不足となっていて、地域によっては処方ができないなどの影響が出ているようです。

 近頃の医薬品供給不足のニュースは、あちらこちらで問題となっています。抗菌薬では、5年ほど前にセファゾリン不足、タゾバクタム/ピペラシリン不足が生じたケースが記憶に新しいです。これらの原材料(原薬)は、ほぼ100%を中国企業に依存しており、中国からの供給が途絶えたことで問題が生じました。現在もこの問題は解消されていないままで、仮に台湾有事などが起こってしまうと、「国内の抗菌薬の多くが製造できない……」といった事態に陥るかもしれないのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    相撲協会の逆鱗に触れた白鵬のメディア工作…イジメ黙認と隠蔽、変わらぬ傲慢ぶりの波紋と今後

  2. 2

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    《2025年に日本を出ます》…團十郎&占い師「突然ですが占ってもいいですか?」で"意味深トーク"の後味の悪さ

  5. 5

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  1. 6

    中居正広の女性トラブルで元女優・若林志穂さん怒り再燃!大物ミュージシャン「N」に向けられる《私は一歩も引きません》宣言

  2. 7

    結局《何をやってもキムタク》が功を奏した? 中居正広の騒動で最後に笑いそうな木村拓哉と工藤静香

  3. 8

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 9

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 10

    高校サッカーV前橋育英からJ入りゼロのなぜ? 英プレミアの三笘薫が優良モデルケース