「バレンタインデーの秘密」浜本隆志著
世界的なイベントに成長したバレンタインデーの歴史をたどる研究書。
そのルーツをさかのぼると、死から生への再生を願う古代ローマ時代の冬至祭の行事のひとつ、ルペルカリア祭に行き着く。その後、キリスト教化とともに、聖バレンタインの殉教伝説から「愛の守護聖人の日」となったが、ローマ・カトリックは、聖バレンタインの信憑性に疑念が残ると、1969年に教会行事から排除。近代以降、脱キリスト教化を図りながら、現代では商業資本の巨大なマーケットに組み込まれ、「恋愛資本主義」によるグローバル化と大衆化が促進する。そんな「愛の日」の変貌を宗教史的・文化史的視点から概観。(平凡社 840円+税)