「維新政府の密偵たち」大日方純夫著

公開日: 更新日:

<維新の裏面史をあぶり出す力作>

 明治政府の情報収集を担った密偵の実像とその活動を追った歴史読み物。

 大隈重信の回想録によると、維新当初、世情が不安定になり、陰謀・暗殺が多発したため、明治政府は一種の探偵ともいうべき弾正台、廃藩置県後は監部を置いて人心の動きを探ろうとしたという。当時、政府直属の密偵として不平士族の動静を探るために動いた荘村省三や、キリスト教の動静を探索した安藤劉太郎らの活動の実際、組織の仕組み、そして彼らの末路まで。陰の存在の活動を史料を駆使してよみがえらせる。江戸時代の忍者・隠密から、近代警察機構登場までの端境期に暗躍した密偵たちの存在から維新の裏面史をあぶり出した力作。
(吉川弘文館 1800円)

【連載】土曜あらかると

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動