「くらべてわかる きのこ」大作晃一写真 吹春俊光監修
土が肥えているところなら場所を選ばず生えるウラベニカサ科のオオフクロタケなどは、科が異なるが茶色い傘にすらりとした形が毒性のある「オオツルタケ」や「コテングタケモドキ」などとそっくりで、さらにややこしい。
他にも、森の緑の中でひときわ目を引く真っ白でいかにも清廉な容姿ながら「ドクツルタケ」というその名の通り邪悪なきのこもあれば、シイなどの古木に生える暗赤色の「カンゾウタケ」や、全身が紫を帯びた黒色の「ムラサキフウセンタケ」などのようにいかにも毒々しい色を放っているのに食べられるきのこなど。
まず、一見しただけできのこを判断してはならないことを肝に銘じる。
もちろん、きのこの楽しみは、食べられるか食べられないかだけではない。暗闇で妖しい光を放つ発光性の「ヤコウタケ」などの面白きのこも紹介。
きのこを見分ける基本知識やコツなどの解説もあり、とても心強い一冊なのだが、実は日本には1万種類ものきのこがあると推測され、そのうち名前がついているものは3分の1くらいしかないとか。確実に判断できないものはむやみに食べてはならない。毒きのこをすべて見分けられる方法はないので、ひとつずつ確実に覚えていくしかないそうだ。