「世界の刀剣歴史図鑑」ハービー・J・S・ウィザーズ著 井上廣美訳
石器時代から第2次世界大戦に至るまでの長大な刀剣の歴史を概観する豪華図鑑。人類の発展に伴走しながら進化を遂げてきたその経過を解説するとともに、800点以上もの美しい写真で世界各国の宝刀を紹介する。
刃を備えた道具が現れたのは、約250万年も前のはるか昔。石器時代の人々がフリント(燧石)と黒曜石で作ったシンプルな狩りの道具が始まりだ。しかし、近隣部族との紛争が起きると狩猟用の道具は、すぐに戦闘用の武器へと転用されるようになる。
青銅器時代(紀元前3500~700年ごろ)に金属鉱石を精製・溶解・鋳造する技術が生まれると、中東の古代文明が青銅(銅合金)を組み合わせて、やり、ダガー(短剣)、刀剣、おのを作り始め、さらにもっと丈夫な鉄製の剣身がある刀剣が製作されるようになった。こうした技術が世界中に伝播し、各地域で独自の発展を遂げていく。
組織的に戦争を行った世界最古の社会であるシュメール文化(紀元前3000年ごろ)では、地域社会の防衛を職業軍人による常備軍が担っていた。彼らが使うのは主にやりと弓だったが、紀元前2500年ごろから鋭く湾曲した「シックルソード(鎌剣)」も携えるようになった。