「くらべてわかる きのこ」大作晃一写真 吹春俊光監修
森の中で出合うきのこは、アウトドアが好きな人にとっての永遠のテーマではなかろうか。食用に限りなく似ていたり、食べてくださいと言わんばかりに姿かたちでアピールされたり。しかし、万が一を考えては伸ばした手を引っ込めることの繰り返し。そして、誰もがきのこの達人になりたいと密かに野望を抱きながら、こんな悩みに答えてくれる分かりやすい図鑑があったならと思っているはずだ。
そんな人たちの山歩き、里山歩きのお供にぴったりなのが、日本でよく目にする主なきのこ約440種類を似た種類ごとに原寸大カラー写真で紹介する本書だ。
きのこに興味はなくとも「ベニテングタケ」があの愛くるしい容姿と裏腹に食べてはいけないことはよく知られている。しかし、同じテングタケ科の「タマゴタケ」は食べることができる。
シルエットは似ているが、傘のいぼや、前者は傘裏のひだや柄が白いのに対し、後者は黄色を帯びていることなど、微妙な違いがあり、本書を手に見比べればそう間違えることもなさそうだ。
ところがさらに「タマゴタケモドキ」なるきのこがあり、その名の通り「タマゴタケ」にそっくりなのだが、こちらは死亡例があるほどの毒性を備えていると、ややこしい。