「日本クラゲ大図鑑」峯水亮ほか著

公開日: 更新日:

 近年、大量発生が社会問題化する一方で、水族館では人気の的のクラゲ。南北に長い日本の海には、その多様な環境ゆえに多くの種類のクラゲが生息している。

 本書は、水中写真家の峯水氏が18年もの歳月をかけて撮影した写真と第一線の研究者の解説で、日本近海にすむクラゲたちを紹介する豪華図鑑だ。

 クラゲと聞くと、お椀を伏せたような形の半透明で軟らかな体とその周縁から伸びた触手、そして下面中央から垂れ下がったリボン状の口腕でふわふわと海中を漂う姿が思い浮かぶ。

 だが、ページを開いてまず目にするのは、海藻に付着していることが多く、まるでその海藻から咲いた黄色い花のように見える「ウチダシャンデリアクラゲ」や、その名前通りに端正な十字形でとても生き物には見えない「ジュウモンジクラゲ」などの「十文字クラゲ目」に属するクラゲたちだ。

 冒頭から、固定概念が打ち壊されるクラゲの登場にびっくりするが、続いてすぐにお馴染みのお椀形をしたミズクラゲやアカクラゲなど「旗口クラゲ目」が紹介され、本腰を入れて見はじめると、その姿形の美しさ、そして生態の不思議さにもう止まらない。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  2. 2

    大阪・関西万博もう間に合わず? 工事未完を「逆転の発想」で楽しむ方法…識者が皮肉たっぷり提唱

  3. 3

    大阪万博の目玉 344億円の巨大木造リングはほぼフィンランド産…「日本の森林再生のため」の嘘っぱち

  4. 4

    “路チュー”に続き所属タレントの書籍予約トラブル…STARTO社福田淳社長は「自分ファースト」!?

  5. 5

    巨人・田中将大 戻らぬ球威に焦りと不安…他球団スコアラー、評論家は厳しい指摘

  1. 6

    平野紫耀から杉咲花に「翠ジンソーダ」キャラクターわずか1年でバトンタッチのナゾ…平野ファン大混乱

  2. 7

    プーチンだけが丸儲け…米国&ウクライナ会談決裂にニンマリのロシアが描く青写真と警戒心

  3. 8

    注目される日銀の出口政策…次は時価約74兆円のETF(上場投資信託)の出番だ

  4. 9

    大阪万博「歯抜け開幕」ますます現実味…海外パビリオン完成たった6カ国、当日券導入“助け舟”の皮肉

  5. 10

    自公維の「高校無償化」に慶応女子高の保護者が動揺? なぜだ?