「日本クラゲ大図鑑」峯水亮ほか著
深海を漂う深紅の「リンゴクラゲ」や、口腕が10メートルを超える大型の「ダイオウクラゲ」、宇宙生物のような「エフィラクラゲ」、日本固有の「ハナガサクラゲ」、そして時に長さ15メートル以上にもなるというロープ状のその名も「ケムシクラゲ」など。ひと口にクラゲといっても、その大きさから姿形まで、なんとバラエティーに富んだ世界なのだろうか。悪名高き「エチゼンクラゲ」も、ダイバーを従えて海中をたゆたう姿は、その大きさと相まって神々しさまで感じられる。
多くのクラゲは、発達段階によって固着生活を送るポリプ世代から水中を漂うクラゲ世代へと世代交代を行い、前者では無性生殖によって増殖、後者は有性生殖によって繁殖する。
なんと「ベニクラゲ」類に至っては、ストレスを受けると自然の摂理に逆行して、再び無性世代の若いポリプに戻るという不老不死の能力を備えているという。
一方、刺激を受けると発光することで知られるウリクラゲなどの「有櫛動物門」に分類されるクラゲは、この世代交代がなく、実はクラゲと名がついているが、これまで紹介した「刺胞動物門」のクラゲとは、人間とメダカ以上に生物学的にはかけ離れた生き物なのだ。