「かわたれどき」畠中恵著
西から天狗がやって来たとか、武家の屋敷に金が降ったとか、江戸の町に妙な噂が広がっている。だが、両国、本所あたりには伝わっていても、深川には伝わっていないと、偏りがある。
そんななか、神田町名主の息子・麻之助と同じく名主の清十郎、見習同心の吉五郎、両国橋の顔役の息子・貞は料理屋の南北屋に呼び出された。先日、札差の大倉屋に、奇妙な噂について調査するよう命じられたのだが、その結果を大倉屋の息子・冬太郎らにも報告しろという。麻之助は、噂を流した人物は、奉行所を動かすことが目的ではないかと考えた。そして、その人物とは大倉屋だと。(「はたらきもの」)
江戸の謎と揉め事を解決する、悪友3人組を描く時代小説短編集。 (文藝春秋 1300円+税)