「ひとめぼれ」畠中恵著
神田町名主の跡取り息子、高橋麻之助は、花梅屋の隠居、お浜に、料理屋風花屋での雪見に招待された。ところが迎えの舟で八丁堀同心の相馬小十郎と養子の吉五郎、娘の一葉と一緒になる。どうやら雪見は口実で、風花屋で店の土地の権利を記した書き付けが盗まれて蔵に隠されていた事件を探ってほしいらしい。風花屋に着くと、春四郎という甘い顔立ちの男に迎えられた。お浜の孫だというが、吉五郎のいいなずけの一葉と妙に親しげだ。そして、麻之助らが風花屋の話を聞いているうちに、一葉が何者かに蔵に閉じ込められた。しかも、2本ある蔵の鍵も消えている!
お気楽者、麻之助の人気シリーズ。表題作ほか5編収録。(文藝春秋 1300円+税)