「若様とロマン」畠中恵著
明治になって禄を失い、巡査となって糊口をしのぐ元旗本の若様たち。薄給で家臣を抱えて四苦八苦している。
そんな彼らに成り金の小泉商会の当主が見合いを持ちかけた。開戦派に対抗するために縁談で味方を増やしたいらしい。最初に目をつけられたのが、見目はよいが愛想のない園山。相手は小泉の娘、沙羅の友人の太田駒子で、実は父親と同年配の青川という男との縁談を壊すために協力してほしいというのだ。女学校の運動会のどさくさに紛れて駒子を伯母の家に連れていこうとしたが、突然、青川が現れて……。(「園山・運動会」)
若様組シリーズ第3弾の時代小説の短編5編。(講談社 1500円+税)