「明治・妖(あやかし)モダン」畠中恵著
<明治の銀座が舞台の怪奇小説>
江戸から明治になってまだ20年、銀座4丁目交差点の派出所の原田巡査は、雷を恐れて逃げ込んできた小悪党の伊勢らに以前に出合った事件のことを語り出す。それは牛鍋屋での騒動が発端だった。店主の妹・みなもに惚れる待合主の下谷の用心棒・木島が、彼らを快く思わない常連客らと衝突。数日後、アーク灯の届かぬ暗闇で、その常連客らが相次いで「かまいたち」の被害に遭った。自らも襲われた原田は、下谷の正体を突き止めるため、彼がみなもにプレゼントした翡翠(ひすい)のブローチの出どころを調べ始める。そんな中、みなもが何者かに連れ出されて行方不明に。(「煉瓦街の雨」)
明治の銀座を舞台に描く怪奇連作小説。
(朝日新聞出版 1400円)