「なりたい」畠中恵著
廻船問屋兼薬種問屋の若旦那・一太郎は、材木問屋の娘の於りんと、将来縁組をすることが決まった。先々を考え、早く仕事を覚えたいと焦るものの3日店先に立てばすぐに寝込む病弱ぶりは相変わらず。世話をしてきた兄やたちは、一太郎が治るよう神社に寄進に行こうとしたが、それでは一太郎の看病ができない。ならば、逆に神様に来ていただこうということになり、豪勢な食事を用意して神様を歓待した。気を良くした神様は、来世何になろうかと気にかかっている一太郎のなりたいものを聞き、気に入ればそれを引き寄せてやろうと言いだす。果たして一太郎は神様に気に入られる答えを見つけられるか……。
本書は、人気の「しゃばけ」シリーズ第14弾。「なりたい」ものを思案する一太郎のもとに「妖になりたい」「人になりたい」「猫になりたい」「親になりたい」「りっぱになりたい」者たちが現れ、知恵を請う。この世のものではない妖を見られる主人公ならではの解決策も面白い。(新潮社 1400円+税)