「てらこや 青義堂 師匠、走る」今村翔吾著
日本橋南松川町に寺子屋「青義堂」を開いた坂入十蔵は小旗本の次男だ。公儀隠密を務める家で兄の片腕として仕事をしていたが、明和2(1765)年から寺子屋で子供たちを教えている。7年経った頃、寺子屋で学ぶ筆子の吉太郎らが伊勢神宮にお蔭参りに行くというので、十蔵も同行することに。
ところが赤坂宿に着いたところへ、飼い犬の時丸が追ってきた。首に「お蔭参り」と書いた袋をくくりつけていたが、袋の縫い目を切ると密書が隠されていた。兄からの手紙で、敵対する忍びの一団「宵闇」が将軍暗殺を企て、坂入家を無力化するために十蔵の別れた妻を狙っているらしい。(第6章)
元隠密と寺子屋の筆子たちが活躍する時代小説。
(小学館 1600円+税)