「古代エジプト解剖図鑑」近藤二郎著

公開日: 更新日:

 展覧会には大行列ができ、テレビや雑誌では定期的に特集が組まれるなど、日本人は古代エジプトが大好き。半面、その関心は大ピラミッドとツタンカーメン、そしてクレオパトラの3つの話題だけに集中している。

 そもそも大ピラミッドの建造は紀元前2550年ごろで、ツタンカーメンの時代よりも1200年、クレオパトラ7世の自殺よりも2500年も前であり、歴史の流れを知らない人も多いのでは。本書は、そんなにわかファンの知識の空白を埋めてくれるイラスト図鑑。

 アフリカ大陸北東部のナイル川流域で栄えた古代エジプトは、上流のナイル渓谷地帯=上エジプトと、ナイルデルタ(三角州)の下エジプトの2地域に大別される。

 上下エジプトは、ノモスと呼ばれる行政区域に分かれ、最終的に42区になった各ノモスに標章と主神があったという。

 その上下エジプトを統一したのがナルメルという人物で、従来は彼が第1王朝初代の王メネスと考えられていた。しかし、20世紀初めに発見された発掘品の記述から、ナルメルは第0王朝最後の王で、初代王はアハとする説が今は有力だという。

 以後、エジプト最古のピラミッドである「階段ピラミッド」を築いた第3王朝2代目の王ネチェリケトや、古代エジプト屈指の栄華を誇った18王朝の基礎を築いた女王ハトシェプストなど。31王朝が興亡し、200人以上が存在した歴代ファラオから主な人物を解説。

 またピラミッド以前の初期王朝時代に築かれた「マスタバ墓」をはじめ、ピラミッドや神殿にまつわるさまざまな知識やエピソード、そして社会構造から庶民の暮らし、ヒエログリフの読み方まで。古代エジプトの歴史や文化を解説。知れば知るほど古代エジプトの虜になること間違いなし。

(エクスナレッジ 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 2

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  3. 3

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  4. 4

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  5. 5

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    今度は横山裕が全治2カ月のケガ…元TOKIO松岡昌宏も指摘「テレビ局こそコンプラ違反の温床」という闇の深度

  3. 8

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    大谷翔平のWBC二刀流実現は絶望的か…侍J首脳陣が恐れる過保護なドジャースからの「ホットライン」