「赤ちゃんのふしぎ 科学ずかん」高橋孝雄監修 本作り空Sola編
今はそれぞれが百人百様の人生を歩んではいるが、すべての人の始まりは赤ちゃんだ。
しかし、母親から出てきたときに聞こえた初めての音、初めて見た母親や父親、初めて口にした母乳の味など、赤ちゃんのときの記憶がある人はほとんどいない。
本書は、誰もが経験したが、その頃のことはすっかり忘れてしまっている赤ちゃんをじっくり観察、その不思議な事実や行動を一つ一つ解説した子ども向け図鑑である。
まずは、「受精」の仕組みに始まる赤ちゃんが生まれるまでを、「赤ちゃんはお腹の中で何をしているの」「羊水ってなに」「なぜ赤ちゃんはお腹の中で育つの」など、素朴な疑問に答えるようにイラストで解説。
中には、お腹の中の赤ちゃんは4カ月を過ぎ、指しゃぶりを始める頃から羊水を飲んでおしっこをするようになる。おしっこはまた羊水になる。などと大人でも知らないようなこともある。
そして出産。母親から出るホルモンと赤ちゃん(胎盤)から出るホルモンがお互いに働き、生まれるきっかけとなる。もちろん赤ちゃんが、どこから生まれてくるのかもきちんと説明される。
以降は、赤ちゃんのへその緒がとれるまでの経過や、生まれて2、3日経つとまるで脱皮するかのようにはがれ始める皮膚、そして生まれて間もないのににっこりと笑うのはなぜかなど。生まれたての赤ちゃんの不思議に始まり、首のすわりや、歯や言葉、蒙古斑まで。刻々と成長する赤ちゃんの変化をかわいらしい多くの写真とともに紹介。
子どもたちに赤ちゃん時代の思い出話をしてあげるとき、そして弟や妹が生まれてくるとき、さらには性教育の参考書として、さまざまな機会に子どもと一緒に開きたい。
(あすなろ書房 2300円+税)