「森林で日本は蘇る」白井裕子著

公開日: 更新日:

 世界有数の森林資源を持ちながら、宝の持ち腐れにしている日本の森林政策を検証するリポート。

 昨年建てられた住宅のうち約57%、一戸建てに限ると約90%が木造だが、そのほとんどが戦後の建築基準法によって造り上げられた「在来木造(在来工法)」によるもの。現在の法制度下では「伝統木造」は建てられない。しかし、数々の実験で木造の伝統構法の方が耐震性に優れていることが明らかになっている。

 日本の木の性質を生かすとともに多くの木材を使う伝統木造は、山林や山村にお金を還元し山を守り、木を仕立てる技能の発展や地域の産業や文化の継承にもつながると著者は指摘する。こうした建築基準法の問題点から、合理性を欠いたバイオマス発電など、現場を歩き、矛盾だらけの現実を伝える。

(新潮社 792円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  2. 2

    生田絵梨花は中学校まで文京区の公立で学び、東京音大付属に進学 高3で乃木坂46を一時活動休止の背景

  3. 3

    未成年の少女を複数回自宅に呼び出していたSKY-HIの「年内活動辞退」に疑問噴出…「1週間もない」と関係者批判

  4. 4

    2025年ドラマベスト3 「人生の時間」の使い方を問いかけるこの3作

  5. 5

    2025年は邦画の当たり年 主演クラスの俳優が「脇役」に回ることが映画界に活気を与えている

  1. 6

    真木よう子「第2子出産」祝福ムードに水を差す…中島裕翔「熱愛報道」の微妙すぎるタイミング

  2. 7

    M-1新王者「たくろう」がネタにした出身大学が注目度爆上がりのワケ…寛容でユーモラスな学長に著名な卒業生ズラリ

  3. 8

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  4. 9

    高市政権の積極財政は「無責任な放漫財政」過去最大122兆円予算案も長期金利上昇で国債利払い爆増

  5. 10

    農水省「おこめ券」説明会のトンデモ全容 所管外の問い合わせに官僚疲弊、鈴木農相は逃げの一手