「金魚いろ×かたち謎解き図鑑」大森義裕著
縁日に欠かせない金魚すくい。多くの和金に交じって泳ぐ出目金や琉金(りゅうきん)などを狙って、悔しい思いをした記憶が蘇る。他にも、ペットショップをのぞけば色とりどり、姿形もさまざまな多くの金魚がいる。品種は流通しているだけで200以上もあるという。見た目は異なっていても、これらは全てフナを原種とする同一の種だそうだ。
十人(魚)十色の金魚だが、実はいくつかのパターンがあり、「目が出目か否か」「尾ヒレが2つに割れているか否か」「ウロコの色が赤か黒か」など複数の特徴の組み合わせによって品種が成り立っているという。これらの特徴は遺伝子の変異によるもので、出目金の子は出目金に、琉金の子は琉金になる。
本書は、金魚の品種の特徴にはどのようなバリエーションがあるのか、そして、それらを決めている遺伝子の仕組みについて教えてくれる図鑑。
品種は「体形」「頭部」「尾ビレ」「体色」の4つの要素で成り立っている。「体形」なら、野生のフナに近い「和金型」をはじめ、琉金型、オランダ型、ランチュウ型の4種のバリエーションがあり、これらは「体長と体高の比率」と「背ビレの有無」で決まる。
同じように頭部は5種、尾ビレ8種、体色13種のバリエーションがあり、理論的には2万種以上ができるという。それらを生み出す遺伝子型の中には眼下に組織液がたまった袋が発達する「水泡眼」のように遺伝の仕組みがまだよく分かっていないものもある。
そうした基礎知識を学んだ上で、代表的な44種の品種の成り立ちや交配の歴史など遺伝との関わりを詳しく解説。ただめでるだけでない、金魚の奥深い楽しみ方へといざなう。
(化学同人 1650円)