「世界でいちばん素敵な数学の教室」永野裕之監修
高校時代、微分や積分で数学に挫折してしまった人も多いはず。本書は、もう一度基礎から数学を学び直したいと思いながら、生理的に体が受け付けないと思い込んでいる文系の人に、オススメの入門ビジュアル図鑑。
数学嫌いが抱きがちな、そもそも「数学は何の役に立つの?」という疑問から、「いまだに証明されていない数学の難問を教えて!」まで、30余の質問に答えながら、数学の魅力を教えてくれる。
例えば、すべての数の中で、もっとも重要な「素数」とは何か、続いて「完全数」や「虚数」など、数はその特性によってさまざまにグループ化されることとその概要を紹介。その上で「ハチの巣はどうして六角形なの?」との疑問から数字の「6」が持つ特徴をいろいろな視点から解説。さらに「バンパイア数」や「ナルシシスト数」といった独自の法則性を持つ数など、まずは数字の不思議に触れる。
ほかにも、神戸ポートタワーやサグラダ・ファミリアなどの建物に用いられている「包絡線」や「カテナリー曲線」などを例に、図形について解説。
一方で「日本にある桜の木の数って計算で求められる?」という設問に、正確に割り出せない種類の値を「だいたいの数」として導き出す手法「フェルミ推定」を用い、実際に約6500万本と推定してみたり、音楽が数学と密接に関わっていることなど、日常の話題から少しずつ掘り下げ、興味をそそっていく。
ちなみに「微分」「積分」を簡単にいうと、ジグソーパズルを完成させるのが積分、バラバラにするのが微分というイメージだそうだ。
素因数分解がネット社会に不可欠な暗号に用いられていたり、微分・積分がスマホのバッテリー残量の計算に用いられていると知れば、数学がより身近に感じられるに違いない。
(三才ブックス 1650円)