「健やかな毎日のための栄養大全」上西一弘、藤井義晴、吉田宗弘監修 NHK出版編
「健やかな毎日のための栄養大全」上西一弘、藤井義晴、吉田宗弘監修 NHK出版編
私たちの体は食べたもので作られ、食べたものから生み出されたエネルギーを使い、生きている。
必要とするエネルギー量を上回る栄養素を摂取すれば、さまざまな病気の引き金となる肥満となり、一方で飽食の時代といわれる現代であっても、栄養素の不足状態に陥る場合もある。
また、特定の栄養素を手軽に摂取できるサプリメントの利用者も増えているが、市販のサプリメントに関する情報は信頼できるものばかりではなく、過剰に摂取して逆効果になる場合もある。
本書は、最新の研究成果を踏まえ、各栄養素から、注目が集まる「機能性成分」まで解説したグラフィックテキスト。
三大栄養素のひとつ、タンパク質は、アミノ酸が多数結合してできた物質で、水以外では人間の体に最も多く存在する物質だ。その量は成人の体重の20%にも及ぶ。
アミノ酸は自然界に約500種も存在するが、人体を構成しているのはたったの20種類。その20種で人体のタンパク質5万~10万種類を作っている。20種のひとつでも欠けると人体のタンパク質は作れないという。
人間の体内では合成できず、食べ物から摂取する必要がある「必須アミノ酸」のひとつ、「トリプトファン」は肉やレバー、魚、豆、乳製品などに多く含まれている。脳内の神経伝達物質の原料となり、精神バランスを正常に保つために重要な物質で、不足するとうつ状態や睡眠障害などが起きる。
しかし、過剰な摂取は発がん性物質の生成を招くという研究報告もある。
このように一つ一つの栄養素を解説するほか、高齢者にはどのくらいのタンパク質が必要なのか、コラーゲンと美肌の関係など、栄養素に関するコラムも充実。
毎日の食事を見直すための格好の参考書だ。
(NHK出版 3080円)