「数学の世界史」加藤文元著
「数学の世界史」加藤文元著
タネから芽が出る瞬間が物事の始まりなら、割り算こそが数学の始まりだと著者は考える。
例えば16を7で割ると、①16÷7=2余り2、または②2.2857……という小数、あるいは③ という分数、というように、いろいろな答え方がある。つまり、割り算は、その状況や文脈によって期待される答え方が違う。
世界にはそれぞれの文明圏によって独特の割り算があり、それゆえ「割り算」は人間の高度な精神活動の所産と考えられるのだ。例えば古代バビロニアでは60進数が使われたため、割り算の答えも60進小数が使われた。
数学者が数学を通して知の体系を探る。
(KADOKAWA 2420円)