「しをかくうま」九段理江著

公開日: 更新日:

「しをかくうま」九段理江著

「わたし」はテレビで競馬の実況放送を担当している。人生のスタートはテレビで放映されていた日本ダービーだった。そのときの競馬場の芝生の匂いや、空気を震わす10万人の歓声ははっきり思い出せる。

 1頭の動物がはるかな場所から過去と未来を行き来し、わたしの現在に向かって疾走してくる。それ以来、わたしの人生は彼らを中心に回り始めた。

 ニーチェは「神は死んだ」と言ったが、それを実際に見たのかもしれない。わたしは神ではなく馬を見た。神は馬だ。馬は人間を乗せてこの世界に連れてきたのだ。

「競走除外」となって走れなかった馬を糸口にして、人と馬の歴史をたどる。

(文藝春秋 1650円)

【連載】今日の新刊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  2. 2

    【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算

  3. 3

    フジテレビの内部告発者? Xに突如現れ姿を消した「バットマンビギンズ」の生々しい投稿の中身

  4. 4

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  5. 5

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  1. 6

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  2. 7

    佐々木朗希にメジャーを確約しない最終候補3球団の「魂胆」…フルに起用する必要はどこにもない

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    フジテレビ「社内特別調査チーム」設置を緊急会見で説明か…“座長”は港社長という衝撃情報も

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭