「テレ朝だけじゃない」の声…業界にはびこるキックバック利権
「下請けの制作会社にキックバックさせているプロデューサーなんてテレ朝だけじゃありませんよ」
ため息まじりにこう話すのはさる番組制作会社の幹部だ。
20日に発覚したテレビ朝日の社員プロデューサー、A氏(45)の懲戒解雇。「ミュージックステーション」や「タモリ倶楽部」といった人気番組を担当し、社内外の評価は高く、映画の監督も務めた敏腕Pだった。
そんなA氏が制作会社3社からキックバックで約1億4000万円を不正に得ていたという報道は、またたく間に業界を駆け巡った。
「昔のテレビ界はどんぶり勘定が当たり前。だから、名物プロデューサーとか大物テレビマンといわれた人で、役員になれずに会社を去った人たちは大体、“身体検査”で引っかかっている。皆、スネに傷ありなのです。でも、今は企業コンプライアンスが重視されるため、制作費や経費もガラス張り。タクシーチケットも使えない。とはいえ、発注権限を持っていれば、やろうと思えば何でもできる。制作費に上乗せ請求させてキックバックさせるのは古典的な手法ですが、たとえば、大量に発注する弁当屋をどこにするか、スタジオに飾る花屋をどこにするかもひとつの利権。権限を握っている人間がいる以上、不正が生まれる余地はあります」(制作会社幹部=前出)