“孤高のギタリスト”ソンコ・マージュさん ブレーク拒む理由
宇都宮市出身、栃木弁丸出しのソンコ・マージュさんは以降、「トラック1台分になる」と話す、自らの記事が載った週刊宝石、週刊FM、ペルー新報といった雑誌や冊子のコピーを手に、説明を延々と続けた。
「銀座にあったシャンソン喫茶の『銀巴里』、あそこのステージに立ったことがあるんだ。銀巴里の社長から“何でもいいからやってくれ”って頼まれてね。丸山(美輪)明宏や金子由香利が出てた頃で、歌わないボクのギャラが一番高かった。社長がオレに惚れ込んだんだから、仕方ないさ。合計11年くらい出てて、五木さんもここでオレを知ったんだと思うよ」
■現在の弟子は「4人だけ」
ソンコ・マージュさんは66年、スペイン政府給費留学生として、現代クラシックギター奏法の父、アンドレス・セゴビアに師事。翌年、アルゼンチンが生んだ世界的フォルクローレギター奏者、アタウアルパ・ユパンキにその高い音楽性を認められ、愛用のギターとともに、ソンコ・マージュという名前を贈られた。
「弟子を一切取らなかったユパンキにとって、オレは世界でただ一人の弟子なんだ。オレがユパンキの弟子だってことを外国人が知ると、“本当か!?”って腰を抜かすよ。ソンコ・マージュってのはケチュア語で“心の川”って意味。本名が荒川(義男)でもあり、気に入ってる」