“ぼんやり不調”こそ漢方薬を 西洋医学と何がどう違うのか
60代の女性は、手のこわばりから始まり、足、両肘、両膝の関節など全身が痛むようになった。指も曲がり戻らない。検査では異常なし。受診した整形外科、内科、婦人科からそれぞれの専門分野から見た薬が処方され、症状は良くならないのに薬だけが増えた。
女性はリウマチを疑い、津田医師の外来を受診した。目、舌、脈、腹、食欲、口の渇き、イライラ感、生活上での悩みなど複数面からの診察で、津田医師は「更年期障害による関節症」と診断。強いストレスと、関節に関係する女性ホルモンの不足とで、体全体の不調を招いていると説明した。
心身の疲れを改善する「柴胡桂枝乾姜湯」を処方すると、半年以上苦しんでいた症状が3週間でさーっと消えたという。
「関節痛だけでなく、女性が抱えていたさまざまな不快な症状もなくなり、心身ともに良くなられた。西洋医学では一つ一つの症状を拾い上げて対処するので薬が山のようになるが、漢方医学では体全体を診るので1~2種類の漢方薬でころっと治る人がいるのです」
漢方医学の概念の一つに、肝・心・脾・肺・腎の「五臓」がある。「肝=肝臓」ではなく、「肝」には肝臓のほか、大脳辺縁系、骨格筋、骨髄も含まれる。同時に精神的機能とも関連していて、肝は感情と相互関係にある。肝以外の五臓に対しても同様だ。