著者のコラム一覧
神崎浩孝医学博士、薬剤師

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

吐き止めや胃薬でパーキンソン病に似た副作用が起こる

公開日: 更新日:

 これまで紹介してきたように、薬による副作用は治るものもあれば、治らないものもあります。いずれにせよ、患者さんが安全かつ安心して薬を使用できるように、医療者側には副作用の予防や予見といった対処が必要です。同時に、患者さん本人も早期に発見するために初期症状を知っておいてもらいたい。また、知らないことによって生じる不安を、知ることで解消してもらいたいと考えています。決して不安をあおるために副作用を取り上げているわけではありません。

 そうした副作用の中には、「そんな症状もあるの?」というものもあります。「錐体外路症状」はそのひとつです。パーキンソン病に似た症状、例えば、ずっと手足が震えていたり、舌を出し入れしたり、歩く歩幅が狭くなったりといった症状が表れるもので、脳の機能障害(ドーパミン神経系の活動低下)によって起こります。

■高齢者・女性・薬物の量が多い方で起こりやすい

 この錐体外路症状が副作用によって起こることもあり、「薬剤性パーキンソニズム」と呼ばれています。「プリンペラン」(メトクロプラミド)のような吐き気止めや、胃薬、抗うつ剤、抗精神病薬などとして幅広く用いられる「ドグマチール」(スルピリド)でも発症する可能性があります。いずれも古くからよく用いられている身近な薬なので、知っておくことは大切です。

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