日本乳癌学会“強く推奨” 遺伝性乳がんは予防切除すべきか
■アンジーは卵巣も切除
米女優アンジェリーナ・ジョリーさん(42)は遺伝子検査でHBOCが判明。両方の乳腺組織と卵巣を予防的に切除したことは、世界的なニュースになりました。ご存じの方も多いでしょう。今回の指針改定は、アンジーが受けたような手術を「強く推奨する」というものです。
これらの遺伝子に変異がある女性は、40~90%が乳がんになるという報告もあります。変異がある人ががんになるリスクは、ない人に比べて10倍に。アンジーの母親も叔母も若くして卵巣がんや乳がんで亡くなっていて、遺伝性のがんは若くして発症しやすく、ホルモン剤などの治療薬が効きにくいのが特徴です。
毎年、乳がんと診断されるのは約8万人。昨年6月、小林麻央さんが34歳の若さで亡くなったこともあり、乳がんの怖さを思い知らされたかもしれません。そこにもってきての指針改定ですから、心配でしょう。
命を守るという点で、予防切除の考え方は大切ですが、アンジーのように乳腺に加えて卵巣も切除するとなると、本人だけでなく家族の形に影響します。妊娠前の女性が遺伝子検査の結果で、これらの遺伝子異常を知らされたらどう思うでしょうか。パートナーの男性や両親も含めて、大きな問題を背負うことになります。