裸眼1.0未満が過去最高に 近視になる本当の理由と対処法
生まれたばかりの赤ちゃんは遠視傾向にあり、眼軸を伸ばすことで正視化する。子供が大人より近視が進むのは、この能力が高い時期に過度に至近距離を見続けるためだ。
■日光が近視を抑制
しかし、親の視力が良く、本を長時間読む習慣がなくても近視になる人は大勢いる。
「その理由は日光不足にあるという説があります。米国のオハイオ州立大学のムッティ教授らが4000人の子供を10年間調べるなどした結果、外遊び時間が長い子供ほど近視になりにくい、家の中で過ごす時間の長い子ほど近視になりやすいことを報告しています」
ドイツのチュービンゲン工科大学が、明るさのみが異なる2つのひよこのグループを調べたところ、明かりの強いグループで近視の発生が有意に減少した。ほかの動物を使った実験でも、同様の効果が観測されている。
なぜ光が近視を抑えるか。有力な仮説は、波長の短い紫の光によって網膜から神経伝達物質のドーパミンが分泌され瞳孔が収縮する。このドーパミンが眼軸の伸びを防ぐという説だ。ひよこの目にドーパミン抑制剤を投入すると、光による近視発生の減少が見られない、との実験結果もある。ちなみに、台湾の小学校では毎日2時間、屋外活動をすることで、2010年以降小学生の近視率が10%以上、下がったと報告されている。