心臓が弱っている人は水分の取り過ぎに注意が必要
酷暑が続き、毎日のように熱中症で倒れる人が相次いでいます。予防のためには小まめな水分摂取が大切ですが、心臓が弱っている人は注意が必要です。水分の過剰摂取が心臓に負担をかけ、酷い場合には重症化してしまうケースもあるからです。
とりわけ水分制限が重要になるのは「心不全」の患者さんです。心不全というのは病名ではなく、すでに心臓疾患を抱えているなどで心臓の機能が低下し、十分な血液を送り出せなくなっている状態を指します。
心臓が正常に機能している人の場合、点滴を10リットル入れると8リットルくらいの水分が尿として排出されます。ところが心不全の患者さんは、10リットル入れると4リットル程度しか排出されません。体内の水分は血液として心臓から腎臓に送り出され、尿として排出されます。ポンプである心臓の働きが弱っている人は、腎臓に血液を十分に送り出せないため水分をうまく処理できず、水分が体内にたまってしまうのです。
体内の水分が増えると血液量が増えるので、それを循環させる心臓の負担は大きくなります。また、増えた水分は肺に染み出してたまります。すると、血液に酸素を取り込みにくくなる肺うっ血となり、全身状態が悪化してしまうのです。