子宮頚がん治癒へ第一歩… オーストラリアでマウス実験成功
ゲノム編集技術「クリスパー」を使って、子宮頚がんを治すマウス実験に世界で初めて成功したというニュースが話題になっています。
研究を行ったのは、オーストラリア・グリフィス大学のマイケル・マクミラン教授のチームです。マウスのがん細胞中にあるがんを引き起こすE7遺伝子に、ナノ粒子を使って到達・編集。それによってがん細胞の増殖を止めることに成功したのです。実験に用いられたマウスの100%ががんを治癒したと、雑誌「分子治療」に発表しました。
子宮頚がんはHPV(ヒトパピローマウイルス)への感染が原因で発症するがんで、CDC(米疾病対策センター)によれば、アメリカでは7900万人が感染していて、そのほとんどは10代から20代です。
女性は一生のうちに5人中4人が感染するといわれ、その多くは2年以内に免疫によってウイルスが自然消滅するか、感染していても何の症状もないので、自分では気付かないことがほとんどと指摘されています。
しかし、HPVにはハイリスクとローリスクの2つのタイプがあり、ハイリスクに感染して実際にがん(ほとんどが子宮頚がん)を発症する女性は毎年約1万9000人と発表されています。HPVワクチンは予防接種が有効で、「予防できるがん」とも呼ばれていますが、アメリカでの接種率は5割強であり、まだ十分とは言えません。ちなみに日本では、子宮頚がんワクチンは「積極的勧奨」をされておらず、接種をする人がほとんどいません。アメリカに比べてはるかに遅れている状況です。