著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

免疫力低下は本当か 岡江久美子さん急死の2つの可能性

公開日: 更新日:

 女優の岡江久美子さん(享年63)が新型コロナウイルスによる肺炎で亡くなりました。今月3日に発熱。自宅で様子を見ていたところ、6日朝に容体が急変し、緊急入院。人工呼吸器を装着し、PCR検査で陽性と判明したそうです。

 気になるのはこれまでの経過。所属事務所は、昨年末に初期の乳がん手術を受けていて、今年1月末から2月半ばまで放射線治療を受けていたと発表しました。放射線治療医として見逃せないのは、その後のくだり。放射線による免疫力の低下が重症化した原因ではないかという部分です。

■白血球は背骨で作られる

 詳しい経過が分からないので個人的推量の範囲ですが、一般的に言って乳がんの手術後の放射線治療で免疫力が大きく下がることはまずありません。免疫を担う白血球は、骨髄で作られます。どこの骨かといえば、成人の場合は背骨が中心ですが、乳がんの放射線治療では胸骨や肋骨への照射はあっても、背骨への被曝はまれなのです。

 では、発熱から3週間あまりでの急変は、何が原因か。可能性は大きく2つあると思います。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…