脱腸・盲腸でも術後1時間で帰宅可能に コロナ禍で需要が増加
新型コロナウイルスの流行で変化したことはいくつもありますが、そのうちの一つが「日帰り腹腔鏡手術」の需要が増えたことです。
病院側の理由としては、コロナに感染した患者さんのための病床確保、医師・看護師など医療スタッフの確保、さらにはコロナ感染対策によって、予定していた手術が取りやめにせざるをえなくなったこと。
患者さん側からも、「緊急性がないのなら、今は病院で入院して手術をするのは控えたい」といった要望が増えました。一方で、手術が必要ということは、放置して良くなる病気ではないのですから、患者さんとしては「入院以外で治療できるなら……」という気持ちがあるわけです。
当クリニックで数多く日帰り腹腔鏡手術を行っている脱腸(鼠径ヘルニア)、盲腸(虫垂炎)を例に出して具体的にお話ししましょう。
これらの病気はしばらく放っておいても問題ないケースが少なくありませんが、一定数は、前触れもなく急に腹痛を引き起こし、緊急入院あるいは緊急手術になる可能性があります。
もしその時、救急搬送された病院がコロナの感染症患者さんでふさがっており、手術ができない状態なら、場合によっては生命に関わります。コロナの終息はまだ見えないどころか、より感染力の強い株に置き換わってきています。今後、医療情勢が悪くならないとは言えません。いかなる病気であっても、適切なタイミングで治療を受けた方がいいことは、言うまでもないでしょう。