コロナを超過死亡数で知ることはできるのか? 医療情報学教授が特別寄稿
ただしこの研究で用いられた計算アルゴリズムには、専門家からの批判が多い。世界を十数ブロックに分割し、限られたパラメーターを使って、それぞれのブロックごとに超過死亡を計算し、その数字を各国に割り振るというやり方である。日本は韓国やシンガポールなどと同じブロックに入っているが、日本の超過死亡数がそれらの国々の死亡データに影響されるようになっているので、さすがにこの数字をうのみにするわけにはいかない。
それに超過死亡数の計算は、意外と難しい。各年の「想定される死亡数」には、必ず大きな幅が出てしまう。ところがランセットの論文では、日本の超過死亡数が「±5000~8000人」の幅で推計されている。普通はそんなにピタリと出ない。
■WHOの数字に国別データなし
国立感染症研究所の計算によれば、20年1月~21年12月の国内の超過死亡数は1万2280~7万9360人で、かなり大きな幅がある。この2年間で、最大約8万人がコロナ(関連死を含む)で亡くなったことになるが、確率的にはそれよりずっと少ないはずだ。