「水分の取り過ぎ」で体調を崩すケースも 在宅高齢者は注意
水分をたくさん取ったからといって、血液がサラサラになり脳や心臓の病気を防げるわけではない。それどころか体にとって大きな負担になってしまう。たとえば、心臓が弱っている人は体内の水分を腎臓で処理して尿として排泄することができずに、体内にたまってしまう。
「体内の水分がたまると血液量が増えて心臓に負担をかけます。また、増えた水分は肺でしみだしてたまるため、肺の機能も悪化させるのです。その結果、全身に送る酸素量が減って全身状態が悪くなってしまいます」
こう説明すると、多くの高齢者は「夏場は脱水が心配で……」などと反論する。しかし、自宅での脱水の原因は水分不足ではないと山中医師は言う。
「ほとんどは水分不足ではなく、自宅にエアコンが入っていないなど室内環境の問題です。水分の過剰摂取は、血管内のナトリウムやカリウムという電解質を薄めてしまい、頭痛や吐き気が出たり、場合によっては、けいれん発作につながって意識消失してしまう場合もあります。うつ病や摂食障害などの病気がある方の多くは、精神的な不安定さから水分の過剰摂取が目立ちます。そのため前記の症状が出る『水中毒』になることが多いのです」