「水分の取り過ぎ」で体調を崩すケースも 在宅高齢者は注意
■食事やおやつでも余分な水分がたまる
水分の過剰摂取の自覚がない高齢者の中には、水やお茶以外の食事やおやつで余分な水分を体にためこんでいるケースもあるという。
「私たちが診察をして、腹水や足のむくみが強いときに普段飲んでいる水分量を確認すると、たいがい『そんなに飲んでないんだけどなあ』と言われます。500~600ミリリットルぐらいしか飲んでないというのですが、よくよく聞くと、その水分量には、アイスクリームや果物などが入っていないことが多いのです」
こうした高齢者の中には、夜間頻尿を訴え、薬を希望する人も多い。しかし、そのほとんどが水分摂取過多であり、薬を増やすより寝る前の水分摂取を減らすことで解決するケースが少なくない。
医療現場では、他に点滴による水分過剰摂取が問題になる場合もある。
「がんの末期や肝硬変の患者さんの多くは、腹水がたまったり、足に強度のむくみが出る人がいます。病気で水分の代謝が悪くなっているからですが、別の原因もあります。よく目にするのが病院での過剰点滴です。普段診察している医師や看護師が日常の『水分量』をしっかりと正確に確認して、薬を出したりすればいいのですが、『血管内脱水を防ぐため』と言いながら過剰な点滴をする一方で、水分を体から出すための利尿剤を投与したり、腹部に針をさして腹水を抜いたりする。無理に体に水分を入れて、無理に抜くのは、体への負担が大きい。特に腹水を抜くときは血圧が大きく下がったり、必要な栄養が抜けてしまったり、命に関わることにつながります」