膵がんの5年生存率0%を変える「コンバージョン手術」とは 最新治療に取り組む名医に聞く

公開日: 更新日:

「血管に食い込んだ膵がん手術の経験が多く、他の医療機関では手を出さない症例に対しても、手術を行う場合が少なくありません」

 通常、抗がん剤治療は内科医が行うが、富山大では、コンバージョン手術が見込めそうな患者については、外科医の藤井教授が抗がん剤治療を行っているのも大きい。

「手術に耐え抜くには、体力が必要。抗がん剤は体へかなり負担がかかる治療です。手術に耐えうるかどうか患者さんの状態を見ながら、最大限の抗がん剤治療を行う。これは、手術に精通している外科医だからこそできると考えています」

 栄養療法、筋肉リハビリ療法にも、早い段階から積極的に取り組んでいる。手術に備えた体力を維持するためでもあるし、筋肉量が多い方が抗がん剤が効きやすい。免疫力向上に向けて、腸内細菌を整える栄養補助食品も患者に勧めている。

 コンバージョン手術で高い成績を出しているとはいえ、藤井教授は「3割は手術できているものの、裏を返せば、残り7割はがん細胞が大きくなったり、遠隔転移したりで手術ができていない」と話す。新薬の登場や新たな治療への模索で、今後、より成績が伸びることに期待したい。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  2. 2

    横綱・大の里まさかの千秋楽負傷休場に角界から非難の嵐…八角理事長は「遺憾」、舞の海氏も「私なら出場」

  3. 3

    2026年大学入試はどうなる? 注目は公立の長野大と福井県立大、私立は立教大学環境学部

  4. 4

    東山紀之「芸能界復帰」へカウントダウン着々…近影ショットを布石に、スマイル社社長業務の終了発表か

  5. 5

    「総理に失礼だ!」と小池都知事が大炎上…高市首相“45度お辞儀”に“5度の会釈”で対応したワケ

  1. 6

    大関取り安青錦の出世街道に立ちはだかる「体重のカベ」…幕内の平均体重より-10kg

  2. 7

    日中対立激化招いた高市外交に漂う“食傷ムード”…海外の有力メディアから懸念や皮肉が続々と

  3. 8

    義ノ富士が速攻相撲で横綱・大の里から金星! 学生相撲時代のライバルに送った痛烈メッセージ

  4. 9

    同じマンションで生活を…海老蔵&米倉涼子に復縁の可能性

  5. 10

    独立に成功した「新しい地図」3人を待つ課題…“事務所を出ない”理由を明かした木村拓哉の選択