【ニキビ】抗生物質を使う場合でもアクネ菌を全滅させるのは間違い
日頃から私たちが「ニキビ」と呼んでいる症状は、じつは「尋常性ざ瘡」という皮膚の病気です。ニキビの好発年齢は思春期以後で、成人では次第に減少していきます。女性ではしばしば中年過ぎまで見られますが、ニキビの発生には男女差はあまりないといわれています。
ニキビというとアクネ菌(プロピオニバクテリウムアクネス)が原因とよくいわれます。たしかにアクネ菌も原因のひとつですが、最近では直接的な原因ではなく、ニキビを悪化させる要因のひとつと考えられています。
アクネ菌はほかにも心内膜炎や敗血症などの病気との関連が知られています。ただ、通常は何の“悪さ”もせず、皮膚に普段からすみ着いている常在菌で、じつはニキビのない皮膚にも多く存在しています。アクネ菌は代謝産物であるプロピオン酸や脂肪酸によって皮膚表面を弱酸性に保ち、さらに有害菌の皮膚への定着を防ぐ働きがあると考えられているのです。
ニキビは想像以上に複雑な病気で、アクネ菌の繁殖だけではなく、過剰な皮脂(毛穴から出る脂)の分泌、毛穴の詰まりなど原因はひとつではありません。毛穴の中に皮脂がたまり、アクネ菌にとって酸素が少なく栄養の多い好都合な環境になると、菌が過剰に増殖し、炎症を引き起こして赤みや膿を持つニキビになるのです。