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佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

抗がん剤では80%の患者に脱毛が起こる…見た目の変化が苦痛に

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■再生後の髪質に変化がある場合も

 円形脱毛症もまれではなく起こり、自己免疫反応、精神的ストレスとの関係が指摘されています。治療法として、精神的ストレスの場合は、ストレス発散、生活習慣や食生活の改善、頭皮マッサージ、育毛剤の使用などが考えられます。

 抗がん剤治療での脱毛はその薬にもよりますが約80%、分子標的薬では約15%、免疫チェックポイント阻害薬では約10%の患者に起こります。抗がん剤でも、パクリタキセル、ドセタキセル、ドキソルビシン、シクロホスファミドなどは90%以上で起こります。

 多くの抗がん剤は分裂が活発な細胞に強く作用するのです。ヒトの毛髪は1日に約100~150本抜け、生え変わることを繰り返します。それくらい細胞分裂が盛んな毛母細胞が強く影響を受けることにより、脱毛が起こるのです。一時的なものが多いのですが、繰り返しの治療によって、ある一定の期間は見た目を大きく変えてしまうことがあり、患者にとって苦痛です。


 薬剤投与後、2~3週間で脱毛が始まります。毛髪は再生してきますが、縮れたり、白髪だったり、髪質が違ってくる場合もあります。また、ウィッグについては既製品もありますが、オーダー品は出来上がるのに時間がかかることをあらかじめ承知しておくことが必要です。脱毛による患者の心理的負担はとても大きいことから、抗がん剤を使用する際は多くの場合、前もってこれを理解しておいていただかなければなりません。

 まつ毛の脱毛では、まぶしさを感じやすい、目に異物が入りやすいこともあり、サングラスを利用される方も少なくありません。

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