著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

採血による厳格なモニタリング「TDM」が必要なクスリもある

公開日: 更新日:

 クスリの効果や副作用を確認するときに用いられるもののひとつに「血中濃度」があります。少し専門的な言葉になりますが、これを「薬物血中濃度モニタリング」(Therapeutic Drug Monitoring=TDM)といいます。では、どういったクスリがTDMの対象となるのでしょうか。

 クスリ全体の中でTDMが必要なものはそれほど多くはなく、抗てんかん薬、強心薬、免疫抑制薬、一部の抗菌薬などが挙げられます。こうやって見るとクスリの種類はバラバラなのですが、じつは共通点があります。「クスリの効果が得られる血中濃度(有効域)がしっかりと決まっていて、その濃度と中毒を起こす血中濃度(中毒域)が近接している」ことです。

 バンコマイシンという抗菌薬を例に挙げると、せっかくクスリを投与しても血中濃度が有効域より低ければ効果が十分に得られないだけでなく、最悪の場合、細菌がそのクスリに対して耐性を獲得してクスリの効果がまったくなくなってしまうこともあります。

 一方で、血中濃度が中毒域に達してしまうと「第8脳神経障害」といって耳が聞こえなくなる副作用が起こる可能性があります。もちろん他の副作用(腎機能障害など)が発生するリスクも高くなるわけですが、この第8脳神経障害は一度起こると元に戻らないとされているため、絶対に避けなければなりません。そのために必ずTDMが行われるのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    日吉マムシダニに轟いた錦織圭への歓声とタメ息…日本テニス協会はこれを新たな出発点にしてほしい

  5. 5

    巨人正捕手は岸田を筆頭に、甲斐と山瀬が争う構図…ほぼ“出番消失”小林誠司&大城卓三の末路

  1. 6

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  2. 7

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    「ばけばけ」苦戦は佐藤浩市の息子で3世俳優・寛一郎のパンチ力不足が一因