東敬一朗
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東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

避難所ではなるべくトイレに行きたくないなら…利尿剤の中止も考慮する

公開日: 更新日:

 これまでは大規模災害時のクスリの取り扱いについてお話ししてきました。大事なことなので再度お伝えすると、避難時に持って行く荷物には必ず「お薬手帳」を入れておいてください。これによって、大規模災害時であっても服用・使用していたクスリの継続が可能になります。今回は、大規模災害時に注意が必要なクスリについて一部ですが紹介します。

 避難所で最も困ることは何かご存じでしょうか? 多くの場合、それはトイレです。今回の能登半島地震でもそうだったのですが、上下水道に被害が出るとトイレの使用が難しいだけでなく、場合によっては不可能になってしまいます。特に発災直後は簡易トイレも設置されていないため、ビニール袋に排泄しなければならないなんて状況になってしまいます。

 仮に簡易トイレが設置されたとしても、それまで当たり前のように使っていた自宅のトイレと比較すると、やはりどうしても衛生面で悪いことが多いです。そういった環境的な要素に加え、高齢者は足腰が不自由なこともあり、多くの方が「トイレに行きたくない」と考えます。

 できるだけトイレに行きたくないときに人はどうするのかというと、水分を取らないようになります。水分を取らないこと自体が血栓症などさまざまなリスクになりますし、心不全や高血圧などで利尿薬を服用している場合には特に注意が必要となることがあります。それは「脱水」です。

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