致死率30%「人食いバクテリア」に感染しても命を守る方法
人食いバクテリアと呼ばれる「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」が急増している。過去最多を記録した昨年の941例に続き、今年1月28日までの累計報告数はすでに200例に達した。致死率は約30%と高い。命を落とさないために何ができるか、東京女子医科大学病院感染症科教授の菊池賢氏に聞いた。
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劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、主に「A群溶血性レンサ球菌」に感染することで起こる。ありふれた菌で、普通は咽頭炎など軽症で終わることがほとんどだ。そんな菌が血液内に侵入した場合、なぜ劇症型に進展するのかについては、はっきり解明されていない。
高齢者など免疫機能が低下している人は発症しやすいとされるが、若年層で発症するケースもある。
飛沫や接触で感染し、細菌が血液に侵入すると手足の激しい痛みや腫れ、39度以上の発熱や悪寒の症状が現れる。細菌が体内に広がり傷口付近の皮膚や筋肉が壊死すると、手足の切断や最悪のケースでは敗血症などで死に至る。
「劇症型の致死率は約3割といわれ、そのうち約半数は48時間以内に死亡する非常に進行の速い病気です。患者は60代以上の高齢者に多く、約7割の人が足から感染しています。普段から皮膚などに付着している細菌が、打撲などのきっかけで目に見えないほどの小さな傷ができると、そこから体内に侵入するのです」