著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

じつは体質も重要…ピロリ菌の除菌は胃がん予防にどれだけ有効?

公開日: 更新日:

 ヘリコバクター・ピロリ菌は胃の粘膜に生息している細菌の一種です。子供の頃に井戸水や感染者との接触で感染するとされていて、胃の中の感染が継続すると、胃潰瘍や萎縮性胃炎と呼ばれる胃の粘膜が薄くなるような慢性胃炎の原因となります。この萎縮性胃炎から、胃がんが発生しやすいことが分かっているので、ピロリ菌は胃がんのリスクになると言われているのです。

 胃炎や胃潰瘍があってピロリ菌の感染が確認された場合には、ピロリ菌の除菌治療が行われます。抗菌剤や胃薬を1週間程度飲むことで、胃の中のピロリ菌を退治するのです。

 問題は特に胃に病気のない人に、ピロリ菌の感染が見つかった時、除菌することが胃がんの予防になるかどうか、ということです。2014年に発表された論文によると、これまで発表されたデータをまとめて解析した結果として、健康な人にピロリ菌の除菌をすると、その後の胃がんのリスクが34%程度低下した、という結果になっていました。今年の米国医師会関連の医学誌に掲載された中国の論文によると、遺伝的ながんのリスクが高い人では、ピロリ菌の除菌で胃がんのリスクは55%低下していましたが、遺伝的なリスクが低い人では、除菌の胃がん予防効果は確認されませんでした。

 胃がんは体質によってなりやすい傾向があるので、ピロリ菌の除菌だけで安心、というわけではないようです。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    カーリング女子フォルティウス快進撃の裏にロコ・ソラーレからの恩恵 ミラノ五輪世界最終予選5連勝

  2. 2

    南原清隆「ヒルナンデス」終了報道で心配される“失業危機”…内村光良との不仲説の真相は?

  3. 3

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  4. 4

    「対外試合禁止期間」に見直しの声があっても、私は気に入っているんです

  5. 5

    高市政権「調整役」不在でお手上げ状態…国会会期末迫るも法案審議グダグダの異例展開

  1. 6

    円満か?反旗か? 巨人オコエ電撃退団の舞台裏

  2. 7

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  3. 8

    箱根駅伝3連覇へ私が「手応え十分」と言える理由…青学大駅伝部の走りに期待して下さい!

  4. 9

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  5. 10

    近藤真彦「合宿所」の思い出&武勇伝披露がブーメラン! 性加害の巣窟だったのに…「いつか話す」もスルー